毎年、ゴールデンウィークの5月3、4、5日。
「浜松祭り」が開催されます。
地方に行っている浜松出身の人たちが、この三日間は海外旅行も家族サービスもせず、ひたすら酒を飲み、「大凧」を揚げ、ひたすら練り歩きます。 浜松っ子は盆暮正月より、三度の飯より「浜松祭り」が大好き。5月6日には「あと362日後かぁ」と皆口を揃えます。もちろん私もどっぷり浸かっています。

では、その「浜松祭り」とはいったいどんな祭りなのか。。。
簡単に説明しますと。
その年に産まれた 初子(長男)を祝う祭りです。
浜松にある160を超えるそれぞれの町がその町で産まれた初子の「大凧(大きいもので八帖(3.25m四方))」を作り海岸(中田島砂丘)で一斉に揚げます。その雄大さには圧巻です。 それぞれの町に凧へ凧糸を付ける方法、凧を揚げる方法があり、これは先輩から若い世代にしっかりと受け継がれています。
夜は「初練り」。これは、昔、凧を初子さん宅へ持ち帰る際練り歩いた名残だそうです。今ではそれぞれの町で「屋台引き回し」(多い町では千人を超える人が列をなして練り歩きます。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

さて、私は千歳町という歓楽街の中に住んでいます。俗に言う「夜の歓楽街」ですね。
今ではかなり人数が減りましたが、私が小さい頃は、100足らずの住人しかいないこの小さな町に、祭りになると1000人を裕に超える人間が集まりました。いったいどこから集まったのでしょうか。。。小さいながら「この町は浜松で一番の町だ!」と思っていました、もちろん今でも思っていますが。

この浜松祭り、やはり見るより参加する方が断然おもしろい!
なにがそんなに面白いか、やはり練りがおもしろいですね。その町の住人は「凧揚げ」のほうが楽しいですが、凧揚げはとても奥が深く簡単に揚げられるものではないので、町の人でなければなかなか揚げるチャンスはありません(私も凧にはあまり触れません。)、知りだすとこんなに面白い物はないと思いますが、三日間しか参加されないかたは雰囲気を楽しめることはできます。
さて夜の「激練り」ですが、これは初めての方でも十分に楽しめます、約束できます。
大音量の太鼓とラッパに合わせて、「やいしょ!おいしょ!」と浜松の繁華街を練り歩きます、初子のお宅やお店で、その大人数がいっせいに「おしくらまんじゅう」をします、これははっきり言ってキツイ!酸素がいくらあっても足りません。そしてそこで接待をしてもらい酔っぱらって街中を大声で練り続けます。1年間たまったストレスは充分過ぎるぐらい発散されます。
私は東京、大阪と料理の修業に行っていました。そこで「浜松祭り」の説明をいくらしても「何百人の大人が法被を着て、ヤイショヤイショとおしくらまんじゅう、昼は凧揚げ。いったい何が面白いの?」と言われます。 参加しなければこの祭りは面白くないと思います。。 日本には沢山のお祭りがありますが、参加人数では「浜松祭り」は5本の指に入ると聞いたことがありますが、納得です。

とにかく朝から晩まで酔っぱらっています。。

衣装もそれぞれの町で違いますが、千歳町は藍染めの法被、前掛け、股引、地下足袋、赤い手拭い、です。藍染めでないものもありますが、やはり藍染めのほうがかっこいい!使い込まれ継ぎはぎだらけで色落ちした藍染めの法被は持ち主にとっては宝ですね。

今年のお祭りも、終わってしまいました。。とにかく寂しい。 今年は規制が多く、本番前の「お散歩(他町の会所開きを祝う練り等)」も禁止されていたので。実際に街がお祭りに染まるのは本番のみだったので異常に早く終わってしまったとみんなが口を揃える。
やればやるほど凧揚げはおもしろい!奥が深い!どれだけ夜中まで酒を飲んでも朝の6時の先発隊には必ず目を覚ます。凧を揚げたくてウズウズする。あの凧が揚がる寸前の緊張感、糸を持つときの興奮、息の合った仲間との阿吽の呼吸、合戦の熱気、初凧が天高く舞い上がったときの感動。いくらお酒を飲んでもすぐにシラフに戻る。いくら眠くても目が覚める。街に戻りたくない、祭りが終わってほしくない、法被を脱ぎたくない。なぜみんなここまで祭りにアツくなれるのだろう。五日のドカン(打ち上げ)は本当に涙と感動の嵐、タスキ(役員)が「ありがとう!」と一人一人抱き合う、組長は号泣、みんなもらい泣き。。
ここ数年、千歳町の若い衆で集まれる日に凧揚げをしてきました。今までは街のオッチャンたちしかいじれなかった千歳町の凧、小さい頃から見てきた凧揚げですが、実際に自分たちで揚げてみると全く意味が分からない。何をしていいのかわからない、でも凧は落ちてゆく、、、先輩達が「何やってんだー!」「引けー!あおれー!」もう頭はパニック。ドーン。一年目はその繰り返し。。。頭ではわかっていても糸を持つと頭は真っ白。その年から本番では他町の凧の揚げ方、糸目の付け方などを暇があれば上をみていました。
その甲斐あってか今年は落ち着いて状況を判断することが少しできるようになりました。今凧を揚げてはいけない、張ってはいけない、あおらないといけない、後ろに下がってはいけない、○○町のそばに行ってはいけない。そうなるともう虜です、最高の大人の遊びです。